ガス給湯器は、安全に使用することと長持ちさせるためにメンテナンスを行う必要があります。
メンテナンスを行わないと、様々なトラブルや事故につながる恐れがあります。
この記事では、「ガスの給湯器にメンテナンスが必要な理由」と「給湯器を長持ちさせる自分でできるメンテナンス方法」を詳しく紹介していきます。
給湯器を長く使うためのポイントをわかりやすく解説しているので、給湯器のメンテナンス方法にお悩みの方は、ぜひ参考までにご覧ください!

1.ガス給湯器のメンテナンスが必要な理由はなぜ?

ガス給湯器は、お湯で食器を洗ったり、温かいお風呂に入ったりなど、私たちの日常生活において欠かせない設備です。

そんな給湯器を、安全に長く使うためには定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
給湯器は精密部品でできているので、メンテナンスを行わないでいると給湯器内部と配管に水に含まれるカルシウムや汚れが溜まってしまいます。
汚れが溜まっている状態では、熱交換効率が下がるのでお湯が沸きにくくなりるだけでなく、給湯器内部や配管が、劣化しやすい状態となってしまうこともあります。
劣化してしまうと、故障やガス給湯器の寿命を縮める原因につながりかねません。
また、点検やメンテナンスをしないガス給湯器の使用は、大きな事故を引き起こす危険性も潜んでおり、火災・ガス漏れ・燃焼不良による一酸化炭素中毒といった事故やトラブルが起こることもあるのです。
こうした大きな事故やトラブルを起こさないためにも、給湯器の点検・メンテナンスは必要不可欠なのです。

ガス給湯器は自分で行う点検だけでなく業者による法定点検や定期点検もありますので、しっかり点検やメンテナンスを行うことで、故障や事故を防いで長く給湯器を使いやすくなります。

2.自分で給湯器のメンテナンスを行う際の注意点とチェックポイント

給湯器を自身でメンテナンスする際には、本体に異変がないかもチェックしましょう。
給湯器本体が破損していたり異臭・水漏れをしていたりする場合には、早急に業者の点検を依頼するようにしましょう。
自分で給湯器の点検やお手入れを行う際は、給湯器の前面カバーを外さずにできるメンテナンスを行いましょう。
前面カバーを外してのお手入れには専門的な知識が必要となり、自己判断でのお手入れは、故障の危険が高くなってしまいます。
また、前面カバーを外して故障させてしまった場合には、保証の対象外になる可能性が高いので注意が必要です。
いざ故障してしまった時に、保証外にならないためにも、目視でできる点検や手軽にできる汚れの除去程度のメンテナンスを行うようにしましょう。
給湯器をご自身でチェックするときは、

・給湯器が変形していないか
・給湯機から異臭や異音がしないか
・埃やゴミが貯まっていないか

などを確認するようにしましょう。

3.自分で給湯器のメンテナンスを行う方法

自分で給湯器のメンテナンスを行う方法を、場所別に紹介します。
お手入れをする時の参考にしてみてください。

【給湯器本体】

給湯器本体の自分でできるメンテナンスは、ゴミ・埃・汚れの除去です。
濡れた布で給湯器の外装の汚れを拭き取り、乾いた布で水気を拭き取ります。
もし、水拭きで汚れが落ちない場合には、中性洗剤を使うことで砂埃や油汚れを、簡単に落とすことができます。
排気口と吸気口の埃を取り、配管付近にゴミや落ち葉が溜まっている場合には取り除いてください。

【リモコン】

給湯器のリモコン汚れが気になる場合には、水で濡らした布でリモコンを拭き、汚れが落ちなければ、中性洗剤を使って汚れを落としましょう。
直接水をかけたり、中性洗剤よりも強い洗剤を使ったりすると、故障につながる恐れがあるため、水で濡らした布もしくは中性洗剤を付けた布で汚れを落とすようにしましょう。

【水抜き栓ストレーナー】

水抜き栓のストレーナーも、自分でお手入れができます。
お湯の量が少ないと感じる時には、水抜き栓のお手入れをしてみると改善されるかもしれません。
配管の根元に設置されており、取り扱い説明書に配置場所が記載されております。

ストレーナーのお手入れ方法は、給湯の元栓を締めて全ての給湯栓を開け、水抜き栓を開けてフィルターの清掃を行いましょう。
配管のストレーナー(フィルター)にゴミが溜まっていると、お湯が出にくくなってしまいますので、歯ブラシや小さめのブラシでフィルターに付いているゴミを取り除きましょう。
水抜き栓を抜くと、配管から水が出てくる場合がありますので、下にバケツや受け皿を置いておくと良いでしょう。
水抜き栓を元に戻したら全ての給湯栓を締め、給油元栓を開けてください。
最後に、水抜き栓付近から水漏れしていないか、きちんと取り付けられているかを確認して完了です。

【お風呂の浴槽の循環アダプター】

循環アダプターのお手入れを行うことで、お湯が適温にならない循環不良やポンプの負荷による短命を防ぎやすくなります。
循環アダプターのお手入れ方法は、浴槽の循環アダプターのフィルターを左に回して外して歯ブラシや小さめの掃除用ブラシで水洗いをしてください。
掃除が完了したら、ツメや△マーク同士を合わせてフィルターをはめ込み、止まるまで右に回して固定をして完了です。

【お風呂の配管】

お風呂の追い焚き配管をお手入れしないと、垢や汚れが溜まって湯舟に垢や汚れが浮きやすくなってしまいます。
雑菌の繁殖を防ぐためにも、定期的にお手入れをしましょう。
自動洗浄機能が搭載されている給湯器の場合には、説明書を確認しながら、手順に従って定期的に清掃を行いましょう。
また、自動洗浄機能が搭載されていない場合には、過炭酸ナトリウムを使用した風呂釜の洗浄方法がありますので、ぜひお試しください!

日々の簡単なお手入れ方法として推奨されるのは、浴槽の残り湯を排水したら足し湯する方法で、入浴後に浴槽の残り湯を排水し、さらに足し湯をして循環アダプター経由でお湯を出します。
10秒ほど出したら、足し湯運転をストップして、リモコンの運転を切ることで、湯垢がたまりにくくなります。
自動洗浄機能が搭載されていないお風呂の場合には、1週間に1階の頻度でのお手入れを推奨します。

4.給湯器を長持ちさせるための使い方とは?

給湯器を長持ちさせるための使い方やポイントもあるので、解説させていただきます。

【給湯器の電源を切っている時の使い方に注意】

暑い時期はお湯を使う機会が少なくなるため、給湯器の電源を切る家庭が増えます。
給湯器の電源を切っている状態では、お湯側の水栓からは水しかでず、普段お湯が通る配管に冷たい水が流れると、温度差により結露しやすくなってしまいます。
頻繁に結露を起こすと、配管の錆びや腐食につながってしまいますので、そうならないためには、給湯器の電源を切っている時の使い方に注意が必要です。
電源を切っている時に水を使用する場合は、お湯側ではなく水側の水栓を使うようにしましょう。

【凍結対策を行う】

給湯器の配管が凍ってしまうと、膨張して破裂する危険があるため、給湯器の配管が凍らないように凍結対策を行いましょう。
給湯器には、そもそも凍結機能が備わっているものの、実は本体と浴槽しか凍結防止ができておらず、配管を凍結防止することはできないため、配管の凍結対策をしましょう。

オススメの対処方法としては、凍結しやすい時期には、寝る前に少量の水を出したままにしておくことが挙げられます。
また、寒い時期に旅行や出張で長期間給湯器を使わない場合には、給湯器の水を抜きましょう。

給湯器の水の抜き方は、給湯器下部の給水栓を締めて、水抜栓を2箇所開けるだけです。
水を出し終わったら、水抜栓を締めて完了です。
給湯器の電源を落とす必要はないため、電源は落とさず常に入れておくようにし、凍結防止のために配管に断熱材を巻き付けるのことも有効です。
寒冷地では、配管用ヒーターを取り付けることで、配管が凍結しにくくなります。

【過度なバーナーの使用を避ける】

給湯器のお湯は、給湯器内部でバーナーを点火して水を温める仕組みとなっておりバーナーを使うほど劣化しやすくなってしまいます。
バーナーの劣化を極力防ぐには、少量や短時間だけのバーナーの使用を控えるのが有効です。

【長時間使わない場合には水を抜く】

旅行・出張・帰省・入院などで給湯器を1週間~1ヶ月以上使用しない場合には、給湯器の水を抜いておくようにしましょう。
給湯器の水が減らないと、新しい水を補充することができず古い水が貯まったままとなってしまい、1週間程度経過すると腐ってしまうのです。
その水は、タンク内のヌメリ・錆びの原因となるので、劣化を防ぐためにも水を抜きましょう。
長期間通電させないと、給湯器の故障にもつながりかねませんので、運転をオフにして水を抜いておくと安心です。

5. 長期使用製品安全点検制度で業者による法定点検

長期使用製品安全点検制度は、平成21年(西暦2009年)に制定された制度で、給湯器を長年使用することによる設備の重大な事故を防ぐために作られました。
法定点検は、ガス給湯器の場合には義務ではないので点検をしなくても罰則されません。
(石油給湯器の場合には、必ず法定点検を受けなければなりません。)
しかし、給湯器を長く安全に使うためには法定点検を行うことオススメします。

家庭用の給湯器の法定点検の推奨期間は、9~11年ごとに1回とされており、業務用の給湯器の場合には、2年半~4年半ごとに1回です。
この、業者による法定点検は、ガス給湯器の寿命に合わせてメーカーからハガキでお知らせが届く仕組みとなっています。
法定点検を依頼したい場合には、ハガキの案内に沿って、メーカーに点検をしてもらいましょう。
「法定点検のハガキは届いていないけどメーカーに点検をしてもらいたい」という場合には、メーカーに定期点検を依頼しましょう。

6.ガス給湯器の取り換え目安は10~15年

故障しないよう工夫してガス給湯器を使用していても、ガス給湯器の寿命はやってきてしまいます。
ガス給湯器の耐用年数は、10~15年です。

・リモコンが正常に操作できない
・異音や異臭がする
・お湯がでにくい
・温度が安定しない

などの症状が現われたら、経年劣化が疑われますので、業者に点検を依頼し、必要に応じて修理・パーツの交換・給湯器自体の交換を行ってください。
購入してから1~3年未満であれば、メーカー保証を利用して無料で修理ができ可能性が高く、給湯器の交換ではなく修理や部品の交換を推奨します。
反対に8年以上使用していて不具合が生じた場合には、給湯器本体の交換を推奨します。
折角、修理や部品の交換をしても、他の箇所で再び故障が見つかる可能性があるからです。
また、交換部品の保有期限はベターリビング認定品が10年と決まっており、保有期限を過ぎると、メーカーで部品を用意できなくなり部品の交換ができなくなってしまうのです。
10年以上使用し続けて給湯器や風呂釜が発火するなどの事故・トラブルは頻繁に発生しています。
不完全燃焼による一酸化炭素中毒、点火不良やガス漏れによる火災、異常着火、温度が安定しないことによる高温のお湯での火傷などの事故が実際に発生しています。
安全・安心にガス給湯器を使用するためにも、適切な点検・メンテナンスを行い、必要に応じて給湯器を買い替えましょう。

7.まとめ

ガス給湯器は、安心安全に使うためにメンテナンスが必要です。
点検やお手入れをせずに給湯器を使用していると、給湯器が故障しやすくなったり、給湯器の配管やお風呂の配管が劣化しやすくなったりしてしまいます。
また、メンテナンスを行うことで重大な事故を防ぎやすくなることも重要です。
自分でできるメンテナンス方法を取り入れ、給湯器を適切に安心・安全に使ってみてください。
この記事では、給湯器を長持ちさせるための使い方を実践することで、給湯器が劣化・故障しにくくすることができ、自己メンテナンス中に異常を発見した場合には、メーカーに点検を依頼して必要に応じて修理・交換を検討しましょう。

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